惑星探査機「はやぶさ」はイトカワのサンプルを回収していたんです [宇宙科学]
「はやぶさ」また快挙 微粒子は小惑星「イトカワ」の物質と確認 月以遠からの回収は世界初 (2010/11/16 産経新聞)
今年6月に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰ったカプセル内部で確認された微粒子について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は16日、「ほぼ全部がイトカワ由来の物質と判断した」と発表した。地球から約3億キロ離れた小惑星「イトカワ」で地表物質を捕らえたことになり、人類が月より遠い天体から、地表物質の回収に成功したのは初めて。太陽系の起源解明につながる貴重な試料で、はやぶさ計画は最大の目的を達成した。
はやぶさは平成17年11月、イトカワに2回着陸した。装置の不具合などで計画通りの試料採取は1度もできなかったが、着陸時の衝撃で舞い上がった砂ぼこりなどをカプセルに収めていたと考えられる。
JAXAは回収したカプセルを開封し、約1500個の微粒子を確認していた。ほとんどが大きさが100分の1ミリ以下で、今月上旬からは電子顕微鏡を使って1粒ずつ組成分析を実施。その結果、微粒子の大半はカンラン石と輝石で、どの粒も鉄とマグネシウムの割合(組成比)が地球の物質とは大きく異なることが判明した。
さらに、はやぶさによるイトカワ地表の分光観測データなどが、微粒子の分析結果とほぼ一致した。JAXAは、はやぶさチーム以外の専門家をまじえて検討を重ね、「微粒子のほぼすべてが地球外物質で、イトカワに由来する」と判断した。
JAXAはこれまで、電子顕微鏡による組成分析では「イトカワ由来」と判断するのは難しいとして、より詳細な分析を経て結論を出す方針だった。上野宗孝・JAXAミッション機器系副グループ長は「1、2個だけでは、組成比から由来を断定できない。だが、大量の微粒子がそろって、イトカワ由来の傾向を示したので、科学的にも間違いない。簡易分析でこれほどはっきりした結果が出るとは、予想していなかった」と話した。
今回の微粒子は、2回目の着陸で用いた試料保管容器で見つかった。JAXAは今後、1回目の着陸で用いた試料保管容器も開封し、来年1月以降にはより詳細な分析を行う。
小惑星の岩石は、太陽系初期の状態が保存されていると考えられる。「イトカワの微粒子」により、太陽系の起源や惑星進化の解明に向けた研究の大きな進展が期待される。
【はやぶさ快挙】人類初めての入手 46億年前の太陽系誕生の解明に迫る (2010/11/16 産経新聞)
「はやぶさ」は小惑星「イトカワ」の物質を持ち帰っていた。数々のトラブルを乗り越えて地球への帰還を成し遂げた宇宙航空研究開発機構(JAXA)のはやぶさチームにとっても、最高の成果といえるだろう。人類が初めて直接入手した小惑星の物質からは、46億年前の太陽系誕生当時にまで迫ることができる。
イトカワの岩石は太陽系が誕生したころに形成され、浸食や地殻変動などの影響を受けずに、当時の状態をよく保っているとされる。太陽系の惑星は無数の小惑星がもとになっており、イトカワの試料を調べれば地球などを構成する物質の初期状態がわかる。
イトカワ由来と判明した微粒子は、2回目の着陸時に使用した試料保管容器の一部に付着していた。残りの部分や1回目の着陸で使った保管容器は手つかずで、試料はさらに増える可能性が高い。詳細な分析が進めば、太陽系への理解は大きく深まるだろう。
はやぶさチームは、高い理想を掲げて世界一の試料回収技術を実証した。その技術をさらに確実なものにする必要がある。JAXAは後継機「はやぶさ2(仮称)」で、生命の元になる有機物を多く含む小惑星を目指す。「生命の起源」への挑戦だ。速やかな実現が期待される。(小野晋史)
カプセルから回収された微粒子(カンラン石や輝石)の電子顕微鏡写真(JAXA提供)
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長旅をして地球に帰還するだけでも快挙だったのに!惑星イトカワの物質もしっかりカプセルに回収してくるなんて…。凄すぎ!