国東の人体像移設を求め署名提出
国東の人体像移設求め 2千人分の署名提出 (2015/11/12 大分合同新聞)
国東市山中の天台宗派聖地に設置された著名彫刻家の人体像をめぐって対立が続く問題で、地元・千灯区民有志らでつくるグループが11日、移設の要望書を県に提出した。前区長が「区民の総意」として出した設置継続の要望書を事実上、打ち消し、賛否に割れる地元の姿が浮かび上がった。行政、地元仏教界、近隣4区で継続中の3者協議は、混迷を深めそうだ。
グループは今年1月設立の「六郷満山文化をつたえる会」(芹川香代美代表)。区民中心に市内外の10人ほどで構成し、「神仏習合の聖地が争いの場所になることに耐えられない」などと像の設置に反対の立場を取る。
要望書は「賛否で地元の人間関係がぎすぎすして困っている。伝統行事や区の運営に支障が出ている」と訴える内容で、同会は「移設で地域の協調を取り戻したい」と説明。千灯区の約3割を含む県内外の2154人分の署名を添えた。
像は世界的に活躍するアントニー・ゴームリー氏の作で県、国東市などでつくる実行委が昨秋の「国東半島芸術祭」で設置。地元天台宗寺院でつくる「六郷満山会」が荒行「峰入り行」の通り道に当たるとして開幕前から反対を訴え続けている。一方、千灯区長(当時)ら4区長は今年2月、地域活性化に期待する趣旨で、地域住民の総意として継続設置の要望書を実行委に提出していた。
ただ、つたえる会の要望書提出により、千灯区内の意見対立が表面化した。同会は「区民の過半数は反対の立場」と主張している。
像の取り扱いは3者による協議が中心となっているが、次回会合のめどは立っていない。